3 自閉症タッチセラピー指導者養成講座を受講して

緊張もやがて…

初めて行く場所で、知らないひとばかりの場に入っていくのが得意でないので、1日目はとても緊張しました。

でも、自閉症のお子さんを持つ人、放課後デイのスタッフとして働く人、保育士さんなど、本当にさまざまな現場から集まった受講者の皆さんの自己紹介を聞くことで、その志の高さに感動し、こんな人たちの中にいられることに幸せを感じました。

そこからは、この場で少しでも多くのことを学ぼうと意欲が湧き、また実践でお互いに触れ合うことで体も心もほぐれていきました。

印象的だったこと

現状保育士を育成する場では定型発達の子を想定した保育の方法や理論を学ぶことが中心になっており、実際にASDの子と直接触れ合う機会がほとんどないまま現場に出る、というケースは多いと感じます。

だから、どうしても「パニックを落ち着かせるためにはどうしたらいいか」「噛みつきをやめさせたい」そういった、困りごとをなんとかしたい、ということが関わりの中心になりがちではないでしょうか。

ティナが教えてくれるのは、対症療法ではありません。

ティナは、その子を丸ごと愛すること、をたくさん講座の中で伝えてくれました。

タッチセラピーを必要とする子や保護者を大きく包み込むような心持ちと、

丁寧なタッチの手順、配慮の美しさなど、テクニックとマインド、そのどちらもを学べたことは、私にとって大きな収穫でした。

受講して特に印象的だったのは、困り事を取り除くための関わりではなく、その子が心地よい状態で生きていられる時間を少しずつ増やしたいと願って関わるのがタッチセラピーなのだということ。

そう思うと、心地いい状態の時の表情や体の動きにも自然と関心が向くようになりました。

どんな人にも必要な配慮

ASDに現れる特徴は、彼ら固有とされるものもありますが、誰でも少しずつ持ち合わせている特徴もあると感じています。

例えば私はHSPである自覚を持って生きていて、五感、特に皮膚感覚が鋭くなりすぎる時があります。

一般的なタッチセラピーの手法だと、たとえ親密な人からのタッチであっても、慣れない刺激や予測できないスキンシップは、たとえ理論的に良いとされる方法であってもリラックスすることはほとんどありません。

摩擦による刺激は特に苦手です。

ティナの講座で、その人固有の感覚を尊重することの大切さを多くの人と同時に共有できたことは、私にとっても救いになりました。

例えば、じっくり圧をかけて触れる、という方法は、触れられるのが苦手、という行為への抵抗を和らげてくれることに気づきました。

受講しても、実際に役立てられるか不安もありましたが、ティナが「ここに来て学んでいる、それが十分に素晴らしい」というようなことを伝えてくれて、肩の荷が降りたような感覚を覚えました。

講座では、多様な触れ方、手順を教わります。この場合にはこの方法、と覚えていくことを想定していると、ちょっと大変に感じるかもしれません。

ASDについて、専門的な知識も丁寧に学びます。

ティナの講座では、「ASDはこうである」という決めつけではなく、「こういう可能性がある」という、思考する余地と心構えを与えてくれます。

実際にASDの子と関わるときにその子が何を必要としているか、何をしたらいいのかを教えてくれるのは、
その子との、さまざまな方法を通しての対話であることを繰り返し伝えてくれるし、そのための最善の方法を何度も練習する時間を作ってくれました。

こういった経験を重ねることで、タッチセラピーはオーダーメイドなのだ、と気づいたことは、私の今後の活動の方向性を与えてくれました。

保育の中でも使えそう!

私はあくまでも保育士なので、「触れる」ための資格はありません。

日常の、スキンシップの範疇でタッチセラピーを実践していく必要があります。

講座では、ちょっとした触れ合い遊びとしてのアレンジができるヒントもたくさんもらうことができました。

保育の流れの中で、この時に使えそう、あの子にしてあげたい!そう思える瞬間がたくさんありました。

質問で作っていく講座

もう一つ、新鮮に感じたのは、この講座が質問で成り立っている、という点です。

とにかくティナはどんなタイミングでも、どんな内容でも掬い上げてくれます。そして、その度に、テキストでは学べないことをたくさん教えてくれます。

こんな時にはどうしている?ティナはどう考える?みんなはどうしてる?ということのヒントを直接もらえることが、ここで学ぶ醍醐味なのだと感じました。

私も、私から学ぶ、ということに意味があると感じてもらえるようにタッチセラピーの素晴らしさを伝えたい、と思うようになりました。

続く。