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お風呂で出来るタッチケア
お風呂の時間、どう過ごしますか?私はかつて長風呂派でした。学生時代は勉強したり、雑誌を読んだり、大人になってからは音楽を聴いたり本を読んだり。子育てが始まってからは、たいていが子どもとの入浴なので、一緒に遊んだり、その日の話を聞いたりして、お風呂タイムを楽しんでいます。最近は子ども同士で入浴してくれるようにもなったので、一人で、映画を見たり音楽を聴いたりしてお風呂時間を楽しんでいます。
さて、身体を洗う時間はどのぐらいですか?どんなことを考えていますか?皮膚や、筋肉の触り心地、意識したことはありますか?
肌に意識を向ける??
デイリータッチケアで大切にしていることは、「自分の頭を空っぽにし、相手の身体と心に意識を向けて触れる」こと。
今、あなたの手で、あなたの肩を触ってみてください。肌の触りごこち、温かさ、張り具合を感じますか?逆に、触れているその手の温度は温かいですか?冷たいですか?「あれー、こんなに肉厚だった?!」なんて思うかもしれません。そこから「ちょっと太りすぎたかな、最近動いてないしなー」なんて、思考の連鎖が始まっていませんか?そうなると、触っているはずの手や肩から得ている情報について全く意識が向いていないのです*。そこに気付いたら、また手のひらに意識を戻し、手のひらから得られる情報だけを獲得していくことに集中します。単純に、触れて感じた情報に気付く。それが、意識を向けて触れるということです。
*『子育てに効くマインドフルネス(著・山口創 2017年)』によると、 人間は、だいたいが過去や未来のことに脳を使っていて、「いまこの瞬間」には意識がほとんど向いていないのだそうです。そして、それを「良い」「悪い」で評価し、ネガティブ沼にハマっていく…。このとき、脳は意識的な活動をしている時の20倍もエネルギーを費やしているのです。最近広まってきているマインドフルネスというのは、過去や未来、「良い」「悪い」といった見えない何かからの不安やストレスからの解放や、セルフコントロールの力を高めることを目指して実践されています。 ストレスホルモンの減少と免疫力には関係がありますので、気になったらぜひマインドフルネスを実践してみてください。
意識を向けて身体を洗ってみる
- 手のひらで
- ゆっくり
- 触れて得られた情報だけに集中する
手のひらで、好きなところからゆっくり洗います。本当に集中したいなら、目をつぶるのもひとつのいい方法かもしれません。「二の腕はちょっとザラザラしてるな」「このあたりは滑らかだ」「足先は冷えてるなぁ」「頭を洗っている間は気持ちがいいんだなぁ」「この石鹸の匂い、好きだな」など、 5分もかからないと思いますが、 気付きがたくさんあるはずです。
もしお子さんがいるなら、お子さんの身体を洗う時にも同じようにしてみてください。そして、感じたことをそのままお子さんに伝えてください。「こんなに手のひらが大きくなったんだね。おどろいちゃうな」「かかとがツルツルで柔らかいね。うらやましいな」「ここはちょっと汚れてるから、丁寧に洗おうね」などなど。こういうフィードバックは、子どもが自分で自分を洗う時にもとても役立ちます。そして、もしツルツルのかかとがうらやましいな、と思ったら、「あ、私は子どものこういうとこをうらやましいと思うのね」と、気付くだけにして、軽く受け流してください。「子供をうらやましく思うなんて親としてどうなのよ」など反省したり自分を責める必要はありません。
お風呂で、なのがオススメなのにはもう一つ理由があります。それは、お風呂には余計なものが少ないから。デイリータッチケアのいいところは、服を着たまま、特別な準備や手順が必要なくケア出来ること。ですが、在宅ワークの推奨により、家の中でお仕事の時間とリラックスの時間を区別するのが難しくなっているご家庭も多いと思います。専業主婦でも、未完の家事が目につくと、目の前の子どものことに集中するなんて難しいですよね。でも、お風呂なら、そういう雑多なことから物理的に離れることが可能です。
お風呂の時間、身体を洗う時間だけは、コロナの不安やこれからのこと、過去の反省などを置いておいて、自分自身や子どもの身体と心に意識を向けてみませんか?